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ストーリー 世界と人物 システム
プロローグ    青年と老人  邂逅    追憶  深淵
プロローグ以外はゲーム本編で使用する物です
ネタバレ要素が非常に強くなっています
スタッフ参加の判断基準として閲覧して頂ければと思います

追憶

追憶

それは夢に見たもの
懐かしく暖かい風景

幸せの記憶
そのはずだった



少女
「パパー、ママー!」


少女
「はい、これ」


少女の手には野花を集めて作った輪が握られていた


母親
「まあ、お花の冠」


父親
「上手に作れたね」


得意の表情で満面の笑みを漏らす

父親に抱き上げられ歓声を上げる娘を
母親はにこやかに見守っていた


少女
「いっしょうけんめいつくったんだよ。きれいでしょ」


父親
「ああ、そうだね。お姫様みたいだ」


ふと、少女と視線が合った
ほんの一瞬かもしれない

父親は娘を下ろすと、軽く頭を下げた
戸惑いながらも会釈を返すと
少女がすぐ目の前にいた


少女
「はい、これあげる」


(―――え?)


「いいの?」
そう尋ねると少女は返事の代わりに照れたように微笑んだ
視線を上げると、父親はにこやかにこちらを眺め
花冠を受け取るよう促している


父親
「ここで会ったのも何かの縁だしね」


父親に再び抱き上げられ
肩越しに何度も振り返りこちらの様子を眺めている

手を振る娘に気付いたのか
一緒に手を振る父親を微笑ましく思った

幸せそうな家族を羨ましく思うと同時に
大きな悲しみが沸きあがってくるのを感じたのは
なぜだろう

いつのまにか涙を流していた
泣いていることを気付かれないよう
負けじと大きく手を振った


(―――……ありがとう)







雲は空を覆い
風は木々を揺らし
雨は窓を叩いていた

雷は閃光と共に轟き叫び
眠っている一人の意識を覚醒させる


「……っ!」
「……夢、か……」


まだ、覚めきらない意識で外を見た

黒い空
揺れる木々
放たれる閃光

窓を打ち付ける雨は
より一層激しさを増していた




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